ご相談例


Q1 問題のある従業員を注意・指導することはパワハラに該当しますか?


注意・指導すること自体はパワハラには該当しません。ただし、その注意・指導が、以下の状態になればパワハラに該当する可能性が高いです。

①職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、
②業務の適正な範囲を超えて、
③精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる
従業員を注意・指導する際には、上の3つのことに気を使いながら、あまり感情的にならない冷静さが求められます。


Q2 同業他社への副業や退職後の再就職を禁止したいのですが気を付けることはありますか?


企業秘密の漏洩を防止するために、在職中または退職後に競業避止義務(同業他社で働くことや起業することを禁止する行為)を課すことがあります。
その際の注意するべきことは、就業規則に競業避止義務の具体的内容を明記し、義務を守る旨の誓約書を提出させる等の対応を取ることが望ましいです。
また、退職後には労働者の職業選択の自由が憲法によって保障されていることから、公序良俗に照らして無効となる場合があり、以下の点において有効性が問われます。

①守るべき企業の利益があるかどうか
②従業員の地位(競業避止義務を課すことが必要な従業員であったか)
③地域的な限定があるか(業務の性質等に照らして合理的な絞込みがなされているか)
④競業避止義務の存続期間
⑤禁止される競業行為の範囲
⑥代償措置が講じられているか(対価の支払いや説明会等)


Q3 出張先に直行する場合の移動は労働時間になりますか?


出張中の移動時間は、日常出勤に費やす時間と性質的に類似したものと考えられ、また移動の間は、読書や睡眠なども取れる自由時間であり、使用者の指揮命令下にはないため、労働時間とはなりません。ただし、同行する上司と移動中に仕事の打ち合わせをするような場合に、その打ち合わせにかかった時間は労働時間とみなされる可能性があります。


Q4 台風や大雪のため従業員を休業させた場合は無給でも良いですか?


自然災害による休業は、以下の要件に該当する場合には、不可抗力によるものと評価され休業手当の支給は不要となります。

①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
ただし、「台風や大雪の接近で危なそうだから」といった場合等においては代替措置等が可能であれば不可抗力としてみなされず平均賃金の6割以上の休業手当の支払いが必要になることもあります。
会社に課せられる安全配慮義務にも注意が必要です。